利益を出すには、売上だけを追うのではなく、PL、FL、固定費、小口経費、研究開発費まで含めて、どこに利益が残り、どこで漏れているのかを見る必要があります。
K1くんは、店舗の日次FLや店舗別の数字を見える化し、店長が現場で見るべき数字と、会社側が判断するべき数字を分けて考えるための仕組みです。
まずはPL表を見ます。会社全体で見る場合は、販管費、特に固定費を確認します。家賃や光熱費などは大きく変わりにくいため、それを前提にFLを算出します。
もちろん、不要な会議費や交際費などがあれば削減対象になります。ただし、店舗単位ではそうした経費は大きくないことも多いため、人件費とは別に無駄な経費がないかを確認する、という位置づけになります。
店舗単位で見る場合は、まずFLを見ます。売上規模をベースに、人件費率と原価率が適切かを確認します。ここで目安となるパーセンテージが間違っていると、すべての判断がズレてしまいます。
つまり、利益を見る時は、会社全体ではPL表と固定費、店舗単位では売上規模に対するFL比率を重点的に見ることが大切です。
FL比率の目安は、社長がどんな業態を作るかによって決めます。原価をかけて料理で選ばれる店にするのか、人件費をかけて接客で選ばれる店にするのか。FLの設計は、お客様がお店に来る動機に関わります。
そのため、毎月のミーティングでコロコロ変えるものではありません。短期的な数字だけを見てFLの目安を変えてしまうと、業態の方向性がぶれてしまいます。
また、FLの基準は店長がその場で決めるものではなく、店長以上の役職者が決めるべきです。会社としてどの業態を作り、どの利益構造を目指すのかを決めたうえで、店舗ごとの運営に落とし込むことが大切です。
FL以外の経費は、店長以下が見るものと、店長以上の役職者が見るものを分けて考えます。
店長以下の場合、家賃や水道光熱費などは基本的に大きく動かせないため、まずはFLを最重要視します。店舗現場では、原価率と人件費率を適正に保つことが中心になります。
一方で、店長以上の役職者は、FLに加えて、その他の経費も見ます。たとえば、営業終了後に電気やエアコンをつけっぱなしにしていないか、無駄な会議費や交際費を使っていないか、小口経費が多くなっていないかを確認します。
小口経費については、仕入れに関わることもあるため、ある程度は仕方ない部分もあります。ただし、個別に買うよりも指定業者から買った方が安いことが多いため、発注量が適切か、そもそも通常発注でまかなえなかった理由は何か、という視点で見ます。
つまり、現場はまずFL、役職者はFLに加えて固定費・小口経費・無駄な支出を確認する、という分担が大切です。

小口経費や立替経費は、原則として少ない方がよいです。金額としてももったいないですし、不正にもつながりやすいからです。
できるだけ、指定業者への発注でまかなうことを心がけます。もちろん、指定業者に現金で支払う必要がある場合など、立替経費が発生するケースもあります。ただし、基本的には「どこまでゼロに近づけられるか」を考えるべきです。
また、不正対策として、記録を必ず残します。なぜ買ったのか、誰が買ったのか、いつ買ったのか。こうした情報を残すことで、不要な支出や不自然な支出に気づきやすくなります。
小口経費は「少額だからよい」ではなく、積み重なると利益を削ります。利益を残すには、小さな支出ほどルール化して管理することが大切です。

新メニュー開発の食材は、通常の原価に混ぜたり、まかないに転用されたりすることがあります。ただし、できれば研究開発費などの別項目、別勘定科目として管理するべきです。
通常原価と分けることで、営業原価が安定して見えます。また、「毎月これくらいは新メニューを作る」という目標にもなり、料理長や商品開発担当者にとって一つの軸になります。
研究開発費は、利益を出すためだけの管理ではありません。新しいメニューを作り続けるための投資でもあります。
もちろん、上限金額や承認ルールは事前に決めておく必要があります。通常原価に混ぜてしまうと、いつもと違う仕入れが発生しても「新メニュー開発だから」という言い訳ができてしまい、不正や管理の甘さにつながる可能性があります。
だからこそ、通常営業の原価と、研究開発の原価は分けて見えるようにすることが大切です。

1店舗だけを見て基準を考えても、その数字が正しいかどうかは判断しにくいです。そのため、他店舗と比較する必要があります。
比較するためには、同じフォーマットで店舗別PLや店舗別利益を見られるようにすることが大切です。売上額、坪数、立地条件が違っていても、同じ業態であれば、FLなどの各種比率はある程度同じ方向になるはずです。
そのうえで、会社が目指している比率に対して、各店舗がどれくらいズレているのかを見ます。単に「利益が出ている・出ていない」ではなく、会社が作りたい業態設計に対して、店舗がどの位置にいるかを見ることが重要です。
また、数字に出ない店長評価やお客様からの評価も加えて見ます。当月の利益だけで判断するのではなく、1年後、2年後に伸びる店舗なのかを考えるためです。
店舗ごとの利益は大切ですが、店長に毎日すべてを見せる必要はないと考えます。余計な数字を見せすぎると、集中力が分散してしまうからです。
店舗利益やPL全体は、月に1回程度確認するくらいでよい場合があります。一方で、日次で見てほしいのはFLです。売上、人件費、原価を日々確認し、現場で改善できる数字に集中してもらいます。
あわせて、お客様と従業員を見ることも大切です。数字だけを追うのではなく、顧客満足度や従業員の状態も店長が見るべきです。
家賃や水道光熱費など、店長が日々大きく動かしにくい数字は、毎日見せなくてもよいと考えます。店長には、日々の現場で動かせる数字と、人の状態に集中してもらうことが大切です。
FLは高すぎても低すぎてもよくありません。会社として認められている範囲内で、適切に調整することが大切です。
利益を出すために、削ることを優先的に考えるべきではありません。まず大切なのは、売上を上げることです。売上を上げたうえで、人件費や原価を調整します。
シフトを削る、販促費を抑える、教育費を削る。こうした対応は、短期的には利益が出たように見えるかもしれません。
しかし、長期的には接客力が落ちたり、新規客が減ったり、スタッフが育たなくなったりします。結果として、徐々に店舗規模が小さくなってしまいます。
利益を出すには、単純に削るのではなく、売上を作る力を残しながら、FLや経費を適正に整えることが重要です。
店長会や業態会など、店長以上が集まる場で、定期的に報告・共有することが大切です。数字だけでなく、店長のコメントや現場で行った工夫も共有します。
特に重要なのは、成功した店舗のやり方を横展開することです。まず、成功した店舗や店長をきちんと褒めます。そして、その成果に対するインセンティブも払います。
そうすることで、各店長がそれぞれの能力を使って、数字を良くしようと考えるようになります。10人の店長がいれば、10通りのアイデアが出ます。その中で良いものが1つでも生まれれば、他店舗にも展開できます。
利益改善は、上から指示するだけでは続きません。現場のアイデアを吸い上げ、成果を認め、横展開することが改善の肝です。
まず、目標との差分を明確にします。現在地が分からなければ、何をどれだけ改善すればよいのかも分かりません。
次に、達成することを宣言します。宣言することで、自分自身にコミットすることになります。
最後に、その内容を店舗メンバーに共有します。一人では何もできないため、店舗全体で共有する場が必要です。
その時に、想いや熱量だけでなく、FLなどの数字もアルバイトに共有します。数字を共有することで、モチベーションが上がり、一致団結感も生まれます。
