店舗の問題は、感覚だけでは見つけきれません。まず利益の流れを見て、そこから売上、人件費、原価のどこに問題があるのかを切り分けます。
POSデータだけでは正しい分析になりません。売上に加えて、人件費と原価を日次で管理することで、店舗の現在地が見え、次に何を改善するべきかが分かります。
まず見るべきなのは利益です。利益が見られる状態であれば、最初に店舗の利益を確認します。利益がまだ見られない場合は、売上や金額の流れを見ます。
ただし、1日だけ見ても意味はありません。日別、曜日別、週別など、流れとして見ることが大切です。そのうえで、FL比率を確認します。Foodの原価率、Laborの人件費率が適切な水準か、曜日ごとにどれくらいブレがあるかを見ます。
問題が売上にある場合は、客数、客単価、時間帯別分析を見ます。人件費に問題がある場合は、シフトやマスターシフトを確認します。原価に問題がある場合は、商品別分析や実際の仕入額を見て、ロスがどこに出ているのかを確認します。
つまり、最初に利益の流れを見て、その後に売上・人件費・原価のどこに問題があるのかを切り分ける、という考え方です。
まず、業態ごとの適正値、またはその業態を作った時に目指していたFL比率との差異を確認します。単に「高い・低い」ではなく、自店が目指すべき水準に対してどうズレているかを見ることが大切です。
次に、曜日別などの日々のブレを確認します。平均値だけを見ると問題が隠れるため、どの曜日やどの営業日にFLが乱れているのかを見ます。
F、つまりフードコストに問題がある場合は、食べ物とドリンクの比率、単品とコースの比率、食材ロスを確認します。さらに、日々の仕入れだけで判断せず、月末に必ず棚卸しを行い、理論原価を算出します。理論原価と仕入原価の差異を見ることで、ロスや管理上の問題が見えやすくなります。
L、つまりレイバーコストに問題がある場合は、社員とアルバイトの比率、マスターシフトの本数、時間帯別の売上や客数とシフト本数を確認します。そこから人時生産性を見て、どの時間帯に人件費が合っていないのかを判断します。

大切なのは、見る順番よりも、大きく2つに分けて比較することです。売上が落ちている、客単価が低い、客数が少ないといっても、全体だけを見ると原因がぼやけてしまいます。
たとえば、新規客と常連客、ランチとディナー、コースとアラカルト、ディナーの中でも1次会と2次会、男性と女性、1人客と団体客などに分けて見ます。
2つに分けて比較すると、「どちら側に問題があるのか」が見えやすくなります。新規は増えているが常連が減っているのか、ランチは良いがディナーが弱いのか、団体は取れているが1人客が少ないのか。こうした切り分けをすることで、次に見るべき数字や打ち手が明確になります。
卓番別分析は、1席1席を細かく見ること自体にはあまり意味がありません。大切なのは、席を大きくグルーピングして比較することです。
たとえば、カウンターとテーブル、一般席と個室、入口近くの席、エアコン下の席、トイレ近くの席などに分けます。そのうえで、席ごとの客単価、滞在時間、注文内容を確認します。
そうすると、数字から店内環境の問題が見えることがあります。たとえば、エアコンが寒すぎる、トイレの匂いが漏れている、入口近くで落ち着かない、といった問題です。
また、カウンターとテーブルで比較する場合、カウンターの方が接客を受けやすいため、通常は滞在時間が長くなることがあります。実際にそうなっているかを確認します。
ソファー席も確認が必要です。ソファーと椅子の高さの比率が合っていない場合、居心地が悪くなり、滞在時間が短くなる傾向があります。席の売上や滞在時間は、単なる数字ではなく、店内環境を見直すきっかけになります。

商品別分析では、出数順に見ることも大切です。あわせて、原価率も確認します。ただし、それだけでは足りません。できれば商品別分析には、「提供時間」という軸も入れることをおすすめします。
たとえば、枝豆は2分で出せるけれど、釜飯は15分かかるとします。その釜飯がAランク商品になってしまうと、厨房の負荷が高くなり、提供スピードが落ち、結果として店舗全体の売上が落ちる可能性があります。
その場合は、単に「売れているから良い商品」と考えるのではなく、あえて注文を減らす努力も必要です。メニューブック上の見せ方や配置を変えて、オペレーションに合った注文構成にしていきます。
また、レシピで使う食材も確認します。流用できる食材が多い商品は管理しやすいですが、その商品にしか使わない食材がある場合は、ロスにつながる可能性があります。必要であれば、メニューから外すことも検討します。
時間帯別分析では、ただ時間の流れを見るだけでは不十分です。たとえば、1次会と2次会をある時間で分け、それぞれの客単価を確認します。時間帯によって客層や利用目的が変わるため、同じメニューブックのままでよいとは限りません。必要であれば、時間帯に合わせてメニューブックを変えることも考えます。
また、時間帯ごとのシフト本数も確認します。人時生産性、つまり「その時間の売上 ÷ シフト本数」が低すぎると利益が出ません。逆に高すぎる場合は、売上は取れていても、十分な接客ができていない可能性があります。
時間帯別分析には、大きく3種類あります。
1つ目は、会計時間別分析です。会計した時間に売上を集計するため、注文した時間より遅れて数字に出ますが、最終的な売上としては一番正しい値が出ます。
2つ目は、注文時間別分析です。オーダーが入った時間でリアルタイムに確認できます。ピーク時間の分析には向いていますが、会計時に割引などがある場合は、最終売上とはズレることがあります。
3つ目は、入店時間別分析です。注文や会計をさかのぼり、そのお客様が何時に入店したかに紐づけて分析します。これにより、早い時間に入店した人がどれくらい食べるのか、遅い時間に入店した人の客単価はどうか、といった分析ができます。
K1くんでは、この3種類の時間帯別分析を行うことができます。

まず、人時生産性の基準として「平均時給の3倍」という考え方があります。これをひとつの目安にしながら、自店の業態ではどの数字を基準にするのかを決めます。
ただし、数字だけを見ればよいわけではありません。人時生産性が高くても、接客が回っていなければ顧客満足度は下がります。逆に、人を多く入れすぎれば従業員は楽でも利益が残りません。顧客満足度と従業員満足度は数字に出にくいため、店長が自ら注視する必要があります。アンケートを取るのも有効です。
売上予測については、AIシステムを使う方法もありますが、基本的には前年比を見るだけでも十分参考になります。ただし、単純に365日前を見るのではなく、前年同曜日比を見ることが重要です。曜日がずれていると、比較として意味が薄くなります。そのため、7×52日前、つまり364日前の同曜日を見ることをおすすめします。
そのためにも、今できることは、数字だけでなくコメントを残すことです。日報や営業メモに、その日の天候、イベント、客層、スタッフ状況などを書いておくことで、翌年の予測に使えるデータが蓄積されていきます。
原価に問題がある場合、レシピの見直しはもちろん大切です。ただし、レシピ上は正しくても、実際の数字が合わないことがあります。
理論原価と実際原価が大きく違う場合、原因は大きく3つに分けられます。1つ目はポーションミス、2つ目はまかない、3つ目は不正です。
ポーションミスは、最初に決めたレシピが現場で守られていない状態です。盛り付け量や食材量が少しずつズレると、原価は大きく変わります。そのため、定期的に料理をチェックしたり、写真を撮って確認したりすることが必要です。食材の歩留まりも重要で、端材がどれだけ出ているかを測ることも大切です。
まかないについては、悪意がないことが多いです。そのため、ルールを決めたり注意したりするだけでも改善することがあります。高級食材をまかないに使っていないか、といった基準を共有することが大切です。
不正については、食材そのものを持ち帰るようなことがあると、大きな差異につながります。複数店舗がある場合は、スタッフの異動前後でデータのズレを見ると分かりやすいことがあります。移動前と移動後で原価差異の傾向が変わる場合、原因を追いやすくなります。
問題が一つに絞れるレベルまで見えているなら、即座に対応します。まず試すことが大切です。
ただし、1日だけ試しても意味が薄いことがあります。たとえば1週間だけ試してみるなど、期間を決めて動き出します。そのうえで、実施前後の差異を見て、その施策が正しかったかどうかを確認します。
店長一人で判断するのが難しい場合は、店舗ミーティングや他店舗との店長会で話し合います。現場は店長だけで回しているわけではなく、アルバイトスタッフも含めて全員で回しているため、共有が必要です。
日報コメント、社内SNS、スタッフ共有を使うことも大切です。ただし、システムだけで済ませるのではなく、対面で目を見て話すことも必要です。
数字を見て終わりではなく、まず動き出すこと。そして、見る数字、期間、責任者を決めて改善につなげることが大切です。
まず必要なのは、現在地を把握することです。POSデータだけでは、正しい分析はできません。
POSデータに加えて、人件費と原価を日次で管理します。売上だけでなく、人件費、原価まで日々見えるようにすることで、店舗の正しい数字が分かります。
そのうえで、利益、FL、売上、人件費、原価のどこに問題があるのかを切り分けます。現在地が分かれば、どこから改善すべきかが見えてきます。
そして、その問題をK1くんと一緒に解決していきましょう。
